雇用統計名物「全戻し教会」が来ないままクローズ。…ドル円チャート分析

  

2017年6月2日(金)。FXでは月に一回のお祭りとして有名なアメリカの「雇用統計」が発表。

しかし、今回の雇用統計は事前予想よりも数字が悪い、もしくは予想とあまり差がないためドル売りが加速。とくに非農業部門雇用者数が予想18.0万人を大きく下回る13.8万人という残念な結果に。なお、この結果を受けて6月13~14日に行われるFOMCでは、利上げが遠のいてしまうのでは?という情報もでています。

…流石にこの数字では、金融界隈のネットスラングで有名な「全戻し協会」(あるいは「全モ教会」)も来なかった模様。仕方ないね。

 

 

全戻し協会って?

全戻し教会とは、FXや株などのチャートが、指標発表により著しく上昇or下落した時に出現すると言われている謎の組織を指すネットスラング。一部ではNPOだという噂もあります。

…冗談はさておき、雇用統計やGDP発表などの重要な指標発表や要人発言などでチャートが急に変動しても、変動でたどり着いた箇所が長期足での反発が予想されるネックラインだったために、元の価格に戻ってしまう事が多々あります。その動きを「全戻し」(略して「全モ」)と呼びます。

急激な上げでも、長期足で戻り売りの候補地点だったために、強い売りが入ってきて全戻し。急激な下げでも、長期足で押し目買いの候補地点だったために、強い買いが入ってきて全戻し…という事が雇用統計を含む指標発表ではよく見られますが、今回は残念ながら全戻しになりませんでした。

 

 

ドル円4時間足で相場環境の把握

ドル円の4時間足。4月に付けた高値からの下落トレンドの最中です。雇用統計の前にピンク色のマイナーな下落トレンドラインこそ抜けていますが、赤色のメジャーなトレンドライン付近で頭を抑えられています。

そして、赤のトレンドライン付近には黄色の点線の200EMAがお出まし。5月25日付近にこの200EMA付近で跳ね返されているので、レジスタンスになっている感じでした。

 

 

ドル円の4時間足拡大版。

5月の半ばに大きく下落してからしばらく持ち合いの中を行ったり来たりの値動きです。その持ち合いの中では「三尊」が形成(三尊の右側は左側に比べてやや小さめ)。三尊が形成された後、三尊のネックライン割れから安値を試しに行ってますが、110.500で大きく反発し、三尊のネックラインを大きく上抜けるだけでなく、ピンク色のマイナーなトレンドラインを大きく抜けて上昇したまま雇用統計に突撃し玉砕という感じでした。

三尊は有名な売りサインで、ドル円は長期足でも売りのトレンドではありますが、ネックラインを割れても戻ってくる事は普通に起こります。また、三尊のネックラインを仮に割れたとしても、持ち合い下限の赤の水平線(下)がある110.500や、ラウンドナンバーの110.000あたりで大きな買いが入りやすい状況。

仮に三尊のネックライン割れで売りポジを持つにしても、持ち合いの下限に近いという事を踏まえたうえで、トレードを組み立てて行くのがよいかと思います。(まぁ、雇用統計前なので無理にトレードをしないという選択肢もアリでした。)

 

 

雇用統計前後の動き

ドル円は15分足。15分足では木曜日から短期で上昇トレンドになっていました。

直近高値を更新した押し目同士でトレンドラインが引けますが、このトレンドラインは金曜日になって下抜け。ちょうど4時間足レベルの下落のトレンドライン(赤)が迫っているため、このあたりでは4時間足レベルでの戻り売り入ってきやすい状況でした。

金曜日に白のトレンドラインを下抜け、黄色のラインレジサポ転換が発生。雇用統計の数字が出てからは、15分足の200EMAを大陰線で下抜けてしまいました。

 

 

ドル円1分足、雇用統計発表直後。大きな下落で全戻し教会の気配すらない状態です。こういった大幅な下落時は戻りやトレンドラインができるまで待つのが負けにくいトレードの基本。

ひとまず直近の安値を更新した白丸同士を結んだトレンドラインを引きますが、角度が急な方は途中でラインを突破されてしまっています。しかし、トレンドラインが突破されたからと言って上昇トレンドになったのではありません。たとえ短期目線であっても上昇トレンドと判断するには直近の戻り高値を更新して安値を切り下げてからになります

白の1本目のトレンドラインを抜けてからの動きは、安値こそ切り上げます直近の白丸の戻り高値を上抜くことはできず、ここでも三尊を形成。三尊のネックラインを割った後、大陰線で安値を更新してしまいましたが、結局は4時間足レベルの持ち合い下限の110.500付近で下落が落ち着いた状態でクローズです。

ちなみにですが、ピンク色のラインは4時間足のマイナー下落のトレンドライン。雇用統計の数字が出た直後はこのライン付近で反発したり、白の1本目のトレンドラインを抜けてからはこのライン付近で反発したりと、レジサポ両方の働きをしていました。

 

 

結論:指標発表の動きでも相場環境の把握はマスト

指標発表のような短期間で大きく動きであっても、値動きの止まったり反発したりしやすいポイント、つまりレジサポになりやすいポイントは長期足を使って探していく事が重要になります。

指標発表のような速い値動きでは、いつでもエントリーして利益が出せそうと思えてしまいますが、スピードがある分、より慎重になってエントリーポイントをしっかり絞っていきましょう。

小は大を兼ねませんが、大は小を兼ねます。たとえ、雇用統計でビュンビュン動く1分足を見るときでも、長期足にあって長く続いているトレンドラインを利用したトレードを行う事で、負けにくいトレードに一歩近づきます。くれぐれも全戻し協会の出現を祈ってのお祈りエントリーはしないように。