フィボナッチエクスパンションを有効に使うには?概要やおすすめの利用方法などを解説
B!
トレードにおいて損切りと同等に重要とされているものが利確(利益確定)です。
人間は損失は先延ばしにしたいものですが、利益は早めに確定させたい性質を持っています。
感情のままにその性質に従えば、いわゆるコツコツドカンとなってしまいます。
相場がどこまで伸びるのか、どこまで我慢して伸ばすのか、その目安となるテクニカル分析があれば便利だと思いませんか?
今回はその根拠の1つとなり得る「フィボナッチエクスパンション」について解説していきたいと思います。
フィボナッチエクスパンションとは?
フィボナッチエクスパンションとは、相場がどこまで拡張するのかをフィボナッチ数列を用いて分析するツールです。
「エクスパンション」は”拡張“を意味します。
フィボナッチ数列は、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチにちなんで名付けられ、「隣り合う2つの数を合計すると次の数になる数列」の事をいいます。
学問的にフィボナッチ数列を理解しなくとも大丈夫です。
要はフィボナッチ数列というものが存在し、それを使って相場を分析するという事です。
では、フィボナッチ数列とは一体どんなものなのでしょうか?
数学者のレオナルド・フィボナッチはウサギが増える様子を見てこの数列を見つけたそうです。
つがいの子うさぎが1ヶ月後に大人になり、2ヶ月後には子うさぎを産んで2つがいになります。
3ヶ月後には3つがい、4ヶ月後には5つがい、5ヶ月後には8つがいと、「1、1、2、3、5、8、13、…」と増えていく事に気づきました。
その他にも、木の枝分かれや花びら、ひまわりの種や貝殻の螺旋など自然界にはフィボナッチ数列が数多く存在します。
更に人体やDNAの螺旋構造、台風の渦や銀河の渦にもフィボナッチが存在しています。
「この世界のあらゆるものがフィボナッチ数列により構成されている」ということがいえます。
チャートも例外ではありません。
フィボナッチ数列から計算した比率によりチャートがどこまで拡張するのかを分析します。
具体的には、トレンド中の押し目や戻り目が入った後に、その後、どのあたりまで相場が動くのか予測するテクニカル指標となります。
特に、トレンドフォローの決済ポイントを探るには、フィボナッチエクスパンションは非常に有効です。
小さな利益で確定してしまう傾向の人には、利益を伸ばす為の指標として有効になるでしょう。
フィボナッチエクスパンションは、チャート拡張後、反転のエントリーポイントの絞り込みにも利用できるテクニカル指標です。
フィボナッチエクスパンションのおすすめ数値設定
フィボナッチエクスパンションの数値設定については、MT4でデフォルト状態で最初から設定されている数値がおすすめです。
フィボナッチにおいて「1,618」は黄金比率と呼ばれ、この世の中で最もバランスが取れた美しい比率とされています。
また多くの人が見ているであろう数値が機能する可能性が高いからです。
具体的には、[61.8%][100%][161.8%]に注目します。もっと細かく設定したい場合は、[78.6%][127%][261.8%]を追加してもOKです。
こちらも同様に意識される数値でもあります。
しかし、注意しなければならないのは、「全てがこの数値で反応するとは限らない」ということです。
反応しやすいというだけで絶対ではありません。
世界情勢や災害、様々な経済指標、人間の欲望や恐怖、AIなど、チャートはあらゆる事象を織り込んで動きます。
その結果、フィボナッチ比率に収束される部分が出てくるというだけです。
全てのトレンドでフィボナッチ通りにチャートが反応する訳ではありません。
フィボナッチエクスパンションの利用ステップ
フィボナッチエクスパンションは、下記の相場で機能しやすい傾向にあります。
上昇や下降などのトレンドがはっきりしている
フィボナッチエクスパンションは、トレンドがどこまで続くかを予測する分析ツールとなります。
よりトレンドがはっきりしているチャートで機能する可能性が高いです。
逆に方向性がわからない状態では機能しません。
高値と安値がはっきりしている
フィボナッチエクスパンションでは、高値と安値がはっきりしていないと線が引けません。
第1波が始まり、調整の第2波が入り、第3波〜第5波の値幅を取る事が理想となります。
そのためには第1波の高値、第2波の安値がはっきりしていなければきれいな線が引けず機能しません。
フィボナッチエクスパンションは、基本的に決済目安として利用します。
STEP1:トレンド相場を見つける
まずはダウ理論によってトレンドを把握しましょう。
直近最高値の起点となる安値を割らなければ上昇トレンド継続、直近最安値の起点となる高値を超えなければ下降トレンド継続と考えます。
STEP2:押し目買い(戻り売り)でエントリー
トレンド方向へ押し目買い、戻り売りを行います。
エントリー前に必ず損切りポイントを決めておきましょう。
明確なトレンドの転換シグナルが発生したら、必ず損切りをしなければなりません。
STEP3:エントリー後にフィボナッチエクスパンションを引いて決済ポイントを分析
エントリー後、トレンドの最初の波である第1波と第2波にフィボナッチエクスパンションを引きます。
STEP4:フィボナッチエクスパンションを参考に決済
フィボナッチエクスパンションの161.8%で決済します。
利益がある程度出たら決済したくなる感情に襲われますが、161.8%の価格まで我慢しましょう。
過去チャートの統計では、161.8%まで利確を我慢した方が、小さく利確を行うよりも長期的には優位性があると言われています。
正しく損切りライン設定し、我慢して利益を伸ばす事で、いわゆるコツコツドカンを防ぐ事が出来ます。
フィボナッチエクスパンションの応用方法
フィボナッチエクスパンションの重複
それぞれ異なる時間足から引いたフィボナッチエクスパンションのレベルが重なることで、単一の時間足よりも根拠が強くなります。
時間足が長期になればなるほどテクニカル分析の信頼性が上がります。
長期、中期、短期でトレンド方向が揃い、フィボナッチエクスパンションの数値が重なる部分に注目しましょう。
フィボナッチエクスパンションとフィボナッチリトレースメントの重複
それぞれの指標のレベルが重なることでも、根拠が強くなります。
フィボナッチリトレースメントも同じように61.8%や半値の50%など、注目しておかなければならないポイントがあります。
フィボナッチリトレースメントの61.8%や50%での反発は多々発生していることが過去検証で分かります。
フィボナッチエクスパンションとの重複が見られた場合は一旦決済ポイントと考えた方が良いかもしれません。
また、反発を利用して反転のエントリーポイントの目安にも使用出来ます。
フィボナッチエクスパンションと移動平均線の重複
移動平均線と重なる部分でもチャートが反応する事が多々あります。
決済ポイントでも使用出来ますし、反転のエントリーポイントの目安にもなります。
フィボナッチエクスパンションのまとめ
いかがでしたか?
テクニカル分析に絶対はありません。
あくまで優位性を探す事がテクニカル分析の役目です。
しかし、感情を抑え、優位性の高いトレードを繰り返す為にはテクニカル分析は非常に有用となります。
損切りをあらかじめ決めてリスクを限定し、フィボナッチエクスパンションで利益を伸ばすトレードを徹底すれば、長期的に勝てる戦略になる事は間違いありません。