FXの移動平均線とは?トレード時の見方・使い方やコツも解説
FXトレードのテクニカル指標の定番といえば「移動平均線」です。
初心者の方でも扱いやすい一方で、プロの投資家でも使用している人が多いインジケーターです。
移動平均線は分かりやすい反面、とても奥が深い指標です。
移動平均線を使うと、大まかなトレンドを把握できます。
さらに、他のラインと組み合わせることで、相場の状況を認識したり、売買のタイミングを計ったりすることも可能です。
そもそも移動平均線とは何なのか、基本の使い方から応用編、他のインジケーター(RSI)との組み合わせまでわかりやすく解説していきます。
移動平均線とは?
では早速、移動平均線について見ていきましょう。
移動平均線の仕組み
移動平均線とは、ある一定期間の価格の終値の平均値を表したテクニカル指標のことです。
例えば、10日移動平均線は「10日間の終値合計÷10」のそれぞれの値を点を線で結んで描かれます。
ローソク足チャートでは、価格が上下に不規則に動いているように見えます。
このチャートに移動平均線を表示すると、上図のようになります。
移動平均線を引くことで、極端な値動きが排除され、相場の流れが把握しやすくなります。
移動平均線の種類
移動平均線は主に以下の3種類があります。
単純移動平均線(SMA)
一定期間の終値を平均化しただけの、単純な移動平均線です。
シンプルで使いやすく、大きな方向性を確認することができます。
しかし、相場が急に動くと、反応が遅れるというデメリットがあります。
加重移動平均線(WMA)
直近の価格に比重をかけて算出します。
相場の動きに対し反応が早く、単純平均線のデメリットを補うことができます。
しかし、その分、ダマシが多いとうデメリットがあります。
指数平滑移動平均線(EMA)
加重移動平均線に更に複雑な計算を加えて算出します。
WMAと同様に、相場の動きをいち早く反映させますが、ダマシが多いとうデメリットがあります。
それぞれにメリット、デメリットがあります。
SMAかEMAを使っている人が多いので、どちらかを選んでおけばよいでしょう。
期間設定について
移動平均線の本数や期間設定については、たくさんの組み合わせがあるので迷われると思います。
期間設定はどんなトレードをするかによって使い分けが必要です。
よくあるのは、
週足:9週、13週、26週、52週
から短期と中期の2本、もしくは、短期と中期と長期の3本を組み合わせての使用です。
複数本使用することで、よりトレンドが掴みやすくなります。
FXの営業日は平日の5日間ですので、5日移動平均線では、直近1週間、つまり、短期の相場の流れが掴めます。
25日や75日の移動平均線は1~3カ月間で中期、200日は半年~1年の長期の相場の流れを掴むことができます。
当サイトでおすすめする移動平均線の本数や期間設定については、下記記事で別途紹介していますので、参照して、実践で活かしてみてください。
【基礎編】移動平均線の基本的な見方・使い方
移動平均線の最大の特徴は、大まかなトレンドがひと目でわかることです。
図のように、
- 移動平均線が上向きかつローソク足チャートが移動平均線より上に推移しているときは上昇トレンド
- 移動平均線が下向きかつローソク足が移動平均線よりしたに推移しているときは下落トレンド
- 移動平均線が横ばいでローソク足チャートも移動平均線の上下を行き来しているときはボックス相場
と判断できます。
また、各トレンドにおいて、移動平均線はサポートライン、レジスタンスラインとして使うことができます。
サポートライン(下値支持線)とは、相場がその価格以下には下落しないと予測されるラインのことです。
レジスタンスライン(上値抵抗線)とは、相場がその価格以上には上昇しないと予測されるラインのことです。
ゴールデンクロス・デッドクロス
移動平均線を使用した買いサイン、売りサインに、ゴールデンクロス、デッドクロスがあります。
短期と中期の2本の移動平均線を使用して、2本の位置関係を基に分析します。
- 短期線が中期線を下から上に抜けたときがゴールデンクロスで買いサイン
- 短期戦が中期線を上から下に抜けたときがデッドクロスで売りサイン
この2つはトレンドを把握しやすいですが、ダマシが起こるので注意が必要です。
精度を上げるために、トレンドの向きを表す、中長期移動平均線にもしっかりと注目していきます。
中期線が横ばい~上向きのゴールデンクロス、中期線が横ばい~下向きのデッドクロスは信頼性が高いです。
さらに、移動平均線と価格の位置を見たり、他のインジケーターを組み合わせることで、ダマシに合うリスクを減らしていきましょう。
グランビルの法則
移動平均線の傾きと価格の位置関係に注目した方法で、売買のポイントを判断できます。
図のように、中期線を使用して見ていきます。
買いポイントになるのは、1〜4の4つで、売りポイントになるのは、5〜8の4つです。
- 【買い】移動平均線が横ばい~上向きになり、終値がそれを上抜いたとき。
- 【買い】移動平均線が上昇しているとき、終値が移動平均線を下回り、再び上抜くとき。移動平均線の角度が緩やかになっているときは、そのまま急落するリスクがあるので注意が必要です。
- 【買い】終値が上昇している移動平均線よりも上にあり、移動平均線に近づいて下降したがタッチせずに再び上昇したとき。移動平均線が支持線、抵抗線としての役割があることを利用した手法ですが、期間設定によってはそこが支持線・抵抗線として機能しないこともあります。
- 【買い】終値が下降し始めた移動平均線を下回り、大きく下に離れたとき。下降トレンドの中買いでエントリーするという、逆張りの手法なので、リスクが高いです。
- 【売り】移動平均線が横ばい~下向き始めたとき、終値が移動平均線を下抜いたとき。
- 【売り】移動平均線が下降しているとき、終値が移動平均線を上回り、再び下抜くとき。移動平均線の角度がしっかりと下向きであることを確認してからエントリーすることが重要です。
- 【売り】終値が下降している移動平均線より下にあり、移動平均線に近づいて上昇したがタッチせずに再び下降したとき。
- 【売り】終値が上昇し始めた移動平均線を上回り、大きく上に離れたとき。
いずれもリスクがありますのでよく見極めてエントリーしてみましょう。
グランビルの法則については、下記記事でより詳しく解説しています。
併せて参考にしてみてください。
【応用編】さらに詳しい移動平均線の使い方
移動平均線の更に詳しい使い方を見ていきましょう。
移動平均線と価格の位置
IPゾーンという、トレンドの転換エリアを見つける方法を以下の図で考えてみましょう。
図の星マークのところで買いたいですよね。
星マークは短期線と長期線の下にあります。
しかし、赤丸のところも、同じく短期線と長期線の下にあります。
両線より下だからといって買いのタイミングとは限らないのです。
ゴールデンクロス手前の星マークのところはどうでしょうか。
一見よさそうですが、短期線と長期線の上にありますね。
そこで赤丸に注目してください。
天井になっている点ですが、こちらも両線の上にあります。
両線より上だからといって最適な買いタイミングとは言い切れません。
ここで注目してほしいのが、図の星マークのところです。
短期線よりも上、長期線よりも下となっています。
下げ止まって、上昇している途中だということが表れているのです。
ここをIPゾーンと言います。
IPゾーンかつ、短期移動平均線が上向きになったところが買いポイントとなります。
エンベロープ
エンベロープとは、移動平均線から上下に一定の割合で離して引いた線のことで、どのくらい価格と移動平均線が離れるとトレンドが反転する動きが生じるのかを見る指標です。
どの程度離すかは、相場によって異なりますが、一般的には25日移動平均線対比で2~3%と言われています。
価格が上側のラインに接近したときは、下落の可能性が高く、売りサインとなり、価格が下側のラインに接近したときは、上昇の可能性が高く、買いサインとなります。
エンベロープは、相場に強いトレンドがある場合、それぞれのラインに価格が接近してもトレンドの転換が起きないこともあります。
例えば、強い上昇トレンドのときは、エンベロープの上側のラインにローソク足が張り付いた状態で上昇が続きます。
エンベロープについては、下記記事でも詳しく解説しています。
併せて参考にしてみてください。
移動平均線と他のインジケーターとの組み合わせ
これまで移動平均線を使用した分析を見てきましたが、他の指標を組み合わせるとより強い根拠を持って取引ができるようになります。
そこでおすすめしたいのが、移動平均線とRSIの組み合わせです。
移動平均線は、相場の流れがわかる、トレンド系の指標でした。
一方、RSIは、買われすぎや売られすぎをパーセンテージで表したオシレーター系の指標です。
この2つでお互いの弱点をカバーしあうことが可能です。
RSIについては、下記記事でも詳しく解説しています。
併せて参考にしてみてください。
RSIにはダイバージェンスという、相場とRSIが逆行する現象が起きます。
例えば、図のように、相場は下落しているが、RSIは上昇しており、それぞれが異なる方向に動いているといった場合です。
相場が下降しているにも関わらず、RSIが上昇しているということは、下降トレンドの勢いが弱まっているということであり、ダイバージェンスはトレンド転換のシグナルとなります。
その後、値動きを見ていくと、ゴールデンクロスができ、価格上昇が予想されます。
このタイミングで、安心して買いエントリーをすることができます。
このように、2つのインジゲーターの売買サインが表れたときにだけエントリーをするようにすれば、ダマシに合う可能性を減らすことができます。
移動平均線のおすすめ期間設定
移動平均線の期間設定で迷われる方も多いと思います。
本記事でおすすめする移動平均線の本数や設定については、下記記事で解説しています。
ぜひ参照してみてください。
移動平均線を用いた手法
移動平均線を用いたおすすめの手法は、パーフェクトオーダーを使うものです。
下記記事で詳細を解説していますので、ぜひお読みください。
移動平均線のまとめ
移動平均線は、シンプルでわかりやすいテクニカル指標です。
さらに他のインジゲーターと組み合わせれば、FXトレード手法の幅がぐっと広がります。
ぜひ移動平均線を利用して、実際のチャートを分析してみてくださいね。