テクニカル分析とは?FX初心者におすすめの手法と注意点についても解説
FXを始める際、何を基準にエントリーをすれば良いか、初心者の内はわからない事が多いと思います。
誰しも、最初は手法探しの旅に出かけるものです。
今回は、そんなFX初心者におすすめのテクニカル分析について解説したいと思います。
FXで使用する2つの分析方法
どの相場にも、大きく分けて2つの分析方法があります。
それが「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」です。
それぞれどのような分析なのか、詳細を説明します。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、経済状況や金融政策、政治などを分析して相場を予測する分析手法です。
定期的に発表される各国の経済指標により、激しく価格が変動する事が多々あります。
また、国の大きな政策決定や選挙などで、長期的にトレンドが発生する事もあります。
インターネット、SNS、テレビ、新聞などの媒体を通して、正しく情報を精査する事が重要です。
テクニカル分析
テクニカル分析は、過去の価格推移を元に、様々な手法を用いて相場を予測する分析手法です。
手法自体はかなり多岐にわたり、代表的なものからマイナーなものまで数多く存在するため、自分に合ったテクニカル分析を見つけ、その特性を理解してルールを構築する事が重要です。
具体的には、移動平均線やボリンジャーバンド、RSI、MACD、一目均衡表といったテクニカル指標を組み合わせて用います。
しかし、初心者のうちは組み合わせる事で複雑になり過ぎてはいけませんし、組み合わせの相性なども考えてルール作りをしなければなりません。
テクニカル指標とは?主要なものを紹介
テクニカル指標には、大きく分けて「トレンド系」と「オシレーター系」があります。
相場の方向性を判断するテクニカル指標を「トレンド系」、相場の過熱感を判断するテクニカル指標を「オシレーター系」といいます。
トレンド系
移動平均線
移動平均線は、設定した期間の平均価格を線でつなぎ、折れ線グラフで表したものです。
移動平均線の向きにより、トレンド方向を把握する事ができます。
また、複数の期間の移動平均線を組み合わせる事で、より正確な分析が出来たり、エントリータイミングにも使用出来たり、幅広く応用できるのも特徴です。
多くのトレンド系テクニカル指標は、移動平均線からの派生と言っても過言ではありません。
一目均衡表
一目均衡表は、「買い」と「売り」のどちらが優勢かを一目で知る事が出来る分析方法です。
基準線、転換線、先行スパン、遅行スパンという複数のラインで構成されます。
基準線の向きでトレンドの方向を把握し、2本の先行スパンで抵抗帯を見つけ、転換線と遅行スパンでエントリーのタイミングを計ります。
全ての条件が揃った場面を三役好転(三役逆転)といい、優位性のあるエントリーポイントとなります。
一目均衡表は、エントリータイミングやトレンド方向が一目で分かり、さらに、先行スパンが描く「雲」により抵抗の強弱を予測したりと、相場を独特のビジュアルで表現しながら分析する、とても人気がある有名なテクニカル指標です。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差によってトレンドを把握します。
移動平均線は価格の平均値を表します。
標準偏差とは、平均値では表せないばらつきを示します。
平均値から±標準偏差1に含まれる確率は68%と言われ、±標準偏差2に含まれる確率は95%と言われています。
つまり平均値と標準偏差によって、価格の特異性を判断する事が出来ます。
平均値からの距離が±標準偏差2以上であれば、全体の5%の特異な状態と判断出来ます。
それにより、上昇トレンドなのか下降トレンドなのかを判断します。
また、ボリンジャーバンドの形状にも注目する必要があります。
価格の変動により、特徴的なボリンジャーバンドの形状が作られます。
その形状により、相場の状態を把握する事が出来ます。
オシレーター系
RSI
RSIは日本語に訳すと相対力指数といい、全体の相場変動に対して、上昇幅がどの程度占めているかを計算しています。
見た目はシンプルで、1本の線グラフで表されます。
0〜100の数値の間を変動し、70〜80以上で買われ過ぎ、30〜20以下で売られ過ぎと判断します。
緩やかな相場においては力を発揮しますが、強いトレンド相場では機能しない傾向があります。
MACD
MACDは、日本語に訳すと移動平均収束拡散となり、MACD線とシグナル線とヒストグラムにより構成されます。
MACD線とシグナル線のクロスによりエントリータイミングを見極め、ヒストグラムによりトレンドの強弱や方向性が判断できますので、オシレーター系とトレンド系の両方を併せ持つ指標と言えるでしょう。
ストキャスティクス
ストキャスティクスは、一定期間の高値と安値に対して、現在の価格がどのくらいの位置にいるかを数値化したものです。
0〜100の数値の間を変動し、70〜80以上で買われ過ぎ、30〜20以下で売られ過ぎと判断します。
RSI同様に、緩やかな相場においては力を発揮しますが、強いトレンド相場では機能しない傾向があります。
テクニカル分析の注意点
テクニカル分析を使う際には、注意点もあります。
下記にまとめましたので、1つずつ確認していきましょう。
相場に絶対はない
テクニカル指標で表示されるすべてのシグナルが絶対というわけではありません。
相場の8割はランダムとも言われています。
そう言われてしまうほど「読めない」、「勝てない」という事です。
テクニカル分析を学んで、相場を読み切れる様な気分になるかもしれません。
しかし、世界中の偉い数学者や科学者がテクニカル分析を研究しても、絶対勝てる手法は発見されないと思っておいた方が賢明です。
8割はランダムなのでわからないが、残りの2割で勝負する、という気持ちで臨むくらいが良いかも知れません。
優位性の高いエントリーポイントが来るまで、とにかく待つ事が重要です。
エントリーに失敗した場合は、負けを認めて、ルール通り損切りをして仕切り直しましょう。
相場の「ダマシ」に気をつける
誰しも1度は「ダマシ」を食らったことがあるのではないでしょうか。
ダマシとは、予測した方向に行くと見せかけて、逆方向に価格が進んでいく事を言います。
テクニカル指標には、それぞれ得意不得意が存在します。
RSIやストキャスティクスなど、レンジ相場で威力を発揮するオシレーター系の指標をトレンド相場で使用したりすると、ダマシを食らう可能性が高いでしょう。
相場の状況に合わせて、使用するテクニカル指標が機能しやすいかを見極める必要があります。
また、相場の状況を正しく認識し、最善のテクニカル指標を用いて完璧なエントリーを行ったとしても、ダマシを食らうこともあります。
その時は、潔く損切りをするようにしましょう。
相場は、全世界の人間やAIのあらゆる計算、思惑、欲望、恐怖などによってチャートが形成されます。
想定外の動きをする事は当たり前と思っておいた方が良いでしょう。
初心者におすすめのテクニカル分析手法
ここでは、数あるテクニカル指標の中でも特に初心者におすすめの2つを紹介します。
トレンド系とオシレーター系から1つずつ紹介していますので、トレンド相場でもレンジ相場でも利益を狙っていくことができます。
①移動平均線(トレンド系)
移動平均線は、その向きによってトレンド方向がひと目で把握出来る為、初心者でも分かりやすく扱いやすい指標といえます。
また、移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスをエントリーポイントとして使う事が出来ます。
デッドクロス:短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下へ交差して抜けること
移動平均線のパーフェクトオーダーが出た時は、トレンドフォロー(順張り)の大チャンスです。
具体的にどのように見ていくかについては、下記記事で解説しています。
気を付けなければいけない事は、全ての指標で言える事ですが、ダマシに注意しなければいけません。
ダマシが発生した場合は、損切りルールを厳守しましょう。
ちなみに、移動平均線のおすすめの設定は下記記事で解説していますので、初期設定の際に参考にしてみて下さい。
②RSI(オシレーター系)
RSIは、0%から100%の数値で「買われすぎ」「売られすぎ」を判断する、初心者でも比較的使いやすい指標です。
弱点は、大きなトレンド相場の際には機能しにくいという事です。
使う場面を選んだり、他の指標と組み合わせてルール作りを行うなどの工夫が必要です。
それぞれの指標には弱点がある
それぞれのテクニカル指標に慣れてきたら、まずはトレンド系とオシレーター系を組み合わせて判断してみましょう。
トレンド系で方向を定め、オシレーター系で「買われすぎ」「売られすぎ」を判断し、エントリーを行えば、ダマシを回避し、損切りの回数を減らせる可能性が上がります。
それぞれのテクニカル指標の弱点を補い合う事で、ポジションを取る時の根拠を強く持つことが出来るようになります。
テクニカル分析を体系的に学習できるおすすめ本
「FXを体系的に学びたい!」という方のために、FX初心者におすすめできる、FXを体系的に学べる書籍を紹介します。
①ずっと使えるFXチャート分析の基本 (シンプルなテクニカル分析による売買ポイントの見つけ方)
こちらの書籍は、テクニカル指標だけに頼らず、ローソク足チャートを正しく読む方法を分かりやすく解説しています。
全ての基本はローソク足チャートであり、FXだけでなく株や仮想通貨などにも通用する値動きの基礎を習得する事が出来るでしょう。
初心者はテクニカル分析のみに頼りがちになりますが、何事も基礎が出来ていなければ勝つ事は出来ません。
初心者が読むべき最初の1冊です。
②これだけ!FXチャート分析 三種の神器
こちらの書籍は、テクニカル分析の王道である、「移動平均線」「MACD」「一目均衡表」について解説しています。
分析方法は数多くありますが、多くを知れば勝てるという訳ではありません。
代表的な分析方法を1つ極めた方が、シンプルで迷わないルール作りが出来て、利益を上げる可能性が高いです。
テクニカル分析に迷ったらぜひ読みたい1冊です。
③クイズを解いて勝率アップ! FX チャート&資金管理 実践トレーニング
こちらの書籍は、クイズ形式によりインプットとアウトプットを行い、FXの基礎について効率よく学習できる内容となっています。
テクニカル分析だけでなく、資金管理についての知識も学べます。
初心者の間は、テクニカル分析ばかりに目が行きがちで、資金管理はあまり重要視していない人もいるかも知れません。
しかし、FXトレードにおいては資金管理が最も重要と言っても過言ではありません。
正しいテクニカル分析をしていても、資金管理が出来ていなければ確実に負けてしまいます。
その他のおすすめ書籍
もっと細かいところでまだまだおすすめしたい書籍はあるので、他の書籍にも興味がある方は、下記記事も参照してみてください。
テクニカル分析のまとめ
テクニカル分析は、多くのFXトレーダーがエントリーを決定する為の、重要な材料の1つです。
今回紹介した以外にも、多種多様なテクニカル分析がありますが、「必ず勝てる完璧な手法は存在しない」という事を理解しておかなければなりません。
その上で、自分に合ったテクニカル指標を見つけ、トレードに関するルールを構築することが重要です。